ビニロンには、紙の主な構成部分となる主体繊維だけではなく、製紙工程で溶けて接着剤として機能するバインダー繊維もあります。このバインダー繊維の優れた接着性が、以下のようなビニロンの強みへとつながっています。
ビニロンバインダー繊維とビニロン主体繊維とは、同じビニロン同士なので非常に相性がよく、しっかりと接着して強い紙を作ることができます。下の表を見てください。綿100%の紙と比べて、ビニロン繊維を添加することで、裂断長(紙の引張強さ)や引裂強度(引裂にくさ)が高くなっているのが分かります。
※クラレ測定
特殊紙の用途 | マスキングテープ、繊維強化プラスチック(FRP)の表面材基材、 フローリング裏打ち材、各種フィルター |
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ビニロンバインダーは繊維状の接着剤。製紙工程において「水分」「熱」「プレス圧」を受けると溶解し、主体繊維の間でフィルム化して接着剤の役目を果たします。パルプ・レーヨンといった有機繊維だけでなく、ガラス繊維やカーボン繊維といった無機繊維にも利用できます。 以下はガラス繊維に対するバインダー効果を示した事例です。
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【紙の構成】 ガラス繊維90% 、ビニロンバインダー繊維10% ※ビニロンバインダー繊維は見やすいようにヨウ素液で染色しています。 |
ガラス繊維の間でビニロンバインダー繊維が溶解し、フィルム状になってガラス繊維をつなぎ留めているのがわかります。 |